アロハシャツ・ブランド紹介
レインスプーナー(Reyn Spooner)
【ハワイアンシャツハワイアンシャツ新時代の幕開けとなったブランド】
ハワイアンシャツといえば、鮮やかな発色でハイビスカスやパームツリー、フラガールやハワイの風景などトロピカルなものが挙げられる。1950年代までのヴィンテージコレクションでは、レーヨンやシルクなどで光沢感が強く派手なものをたくさん目にすることができる。1960年代に入るとサーフィンブームでメインランド(アメリカ本土)でもハワイアンシャツが生産されるようになった。それまでにはなかったポリエステルなどの新素材のものが登場したのもこの頃だ。しかし、ハワイのロコ(その地で生まれ育った人)たちが、オフィスなどのビジネスシーンで着ることを想定するならば、派手過ぎるものは気が引ける。そこで、レイン・スプーナーの創設者であるレイン・マッカラー(Reyn McCULLOUGH)が考案したのが、プリント生地をあえて裏返しに使用することであった。「リバースプリント」のハワイアンシャツは、このブランドから誕生したのだ。レイン・スプーナーは、紳士洋品店「レインズ社」の創立者レイン・マッカラーと、カスタムメイドのスイムウエアを作っていた「スプーナー社」の創立者ルース・スプーナー(Ruth SPOONER)の共同ビジネスによって1962年に誕生した。それから半世紀の長い歴史の中で、国際的な衣料メーカーへと成長したのだが、世に送り出したエポックメイキングなハワイアンシャツは数え切れないほど無数にある。レイン・スプーナーの誕生が、今日のハワイアンシャツのスタイルに大きな影響を与え、モダンなものへと進化し始めたといっても過言ではない。当時は、ハワイの旅行者向けのおみやげや衣装用とされていたハワイアンシャツであったが、先に述べたリバースプリントのシャツなどは従来の派手なタイプのものとは違い、落ち着きのある色味がビジネスマンやカジュアルに着たい人たちに受け入れられた。ボタンダウンのプルオーバー(ハーフボタン)という新しいハワイアンシャツもレイン・スプーナーが最初である。日本でも1970年代にリバースプリントのスポーツシャツとして一大ブームが起こるまでとなった。ハワイアンシャツを語るうえで欠かすことのできないブランドである。ルース・スプーナーは独自の縫製技術でスイムウエアを作っていたため、サーファーからの支持が厚かった。現在もスイムウエアなどシャツ以外のアイテムも充実のラインナップで、サーファー系、スケーター系、ストリート系などの若者からも人気を集める。そして近年のアメカジブームも手伝い、半袖のハワイシャツにロングTシャツをインナーに合わせるといったベースボール・スタイルでタウンユースとしても好評だ。一着はスタンダードな着こなしのアイテムとしてワードローブに持っておきたいハワイアンシャツである。